オーディオメーカーと補聴器・集音器の関係性に迫る専門サイト。音のプロが“聞こえ”の未来にどう関わっているのかを解説。
オーディオメーカーは“聞こえ”の世界に何をもたらすのか?
音楽や音響を極めてきたオーディオメーカーが、近年、「補聴器」や「集音器」といった“聞こえ”の分野に次々と参入しています。
本サイトでは、そんな音響業界と補聴支援機器との関係性を、技術・社会背景・UX(ユーザー体験)など多角的に掘り下げた5本の記事で特集。
医療とエンターテインメントの間にある「音」の技術が、いまどのように日常生活の“聞こえ”を変えようとしているのかをわかりやすく紹介します。
高齢化と“軽度難聴”の拡大が背景に
補聴器よりも“気軽な聞こえ補助”のニーズ
65歳以上の人口が全体の3割に迫る日本では、聞こえづらさに悩む人が年々増加しています。
その多くは「まだ補聴器を使うほどではない」という軽度難聴者であり、こうした層をターゲットにした製品として、集音器やパーソナルサウンドアンプが注目されるようになりました。
この「中間領域」にオーディオメーカーが参入することで、使いやすく、手に取りやすい“聞こえ補助ツール”の選択肢が広がっています。
オーディオ技術が“補聴”に転用される時代
BA型ドライバーやDSPが集音器の核に
音楽再生に使われていた高性能な小型ドライバーや、ノイズキャンセル、デジタル信号処理(DSP)といった技術は、実は補聴器・集音器と非常に親和性が高いものです。
オーディオ機器で培われたノウハウが、“人の声を聞き取りやすくする”ための技術として応用され始めています。
「音を楽しむ」から「音で支える」へ。
そんな機能転用の最前線が、いま静かに進んでいるのです。
音作りの思想もまったく違う
再現と補正、それぞれの目的の違い
オーディオは「原音に忠実であること」が命。
一方で補聴器は「聞こえない音を補うこと」が目的です。
そのため、チューニングの方向性やユーザー体験の前提がまったく異なります。
補聴器は、違和感があっても“慣れ”による順応を想定することすらあるほど、個別性を重視する製品です。
このような音質思想の違いを理解することは、製品選びにもつながります。
参入企業の個性と戦略
パイオニア、ヤマハ、ソニーの事例から見る潮流
パイオニアは早くから集音器ブランド「フェミミ」を展開し、ヤマハやソニーはワイヤレスイヤホンやリスニングサポート機能で新たな聞こえ体験を提供しています。
また、ゼンハイザーやBoseといった海外ブランドも“聞こえ支援”に関心を示しはじめており、今後もこの動きは加速するでしょう。
デザインとUXが“聞こえ”のハードルを下げる
“見せたくなる補聴器”という進化
補聴器=見られたくないもの、という価値観はもはや過去のもの。
今では、スマートな外観やカラー、イヤーカフのような形状など、**「使いたくなる補聴器・集音器」**が登場しています。
さらにBluetoothやアプリ連携により、スマートフォンとの親和性も向上。
まさに“耳につけるIoT機器”とも言える存在へと変貌しています。
音響メーカーが変える“聞こえ”の未来
音のプロフェッショナルであるオーディオメーカーたちは、単なる技術提供者としてではなく、ユーザーの生活全体をデザインするプレイヤーとして補聴・集音の世界に関わりはじめています。
この特集では、「なぜ彼らが参入したのか」「どんな技術が転用されているのか」「何が従来の補聴器と違うのか」といった疑問に、1本ずつ丁寧に答えています。
これから補聴器や集音器を選ぶすべての人に向けて、
「聞こえる生活」をより豊かに、より選べるものにするためのヒントをお届けします。
更新情報
-
sound collector
“聞こえのUX”を変える / 補聴器に求められるデザインと機能
~見せないから“魅せる”へ、聞こえ補助デバイスの新潮流~ かつて補聴器や集音器は、「できるだけ目立たないこと」が重視されてきました。しかし今、少しずつその価値観に変化が訪れています。 使いやすさ、装着感、デザイン、操作性、連携機能……。補聴器… -
sound collector


音のプロたちが“聞こえ”市場に参入した理由
「聞こえにくい」という課題は、高齢化社会の進行とともに深刻化しています。その中で、意外にも“音楽を楽しむ”ための製品を作っていたオーディオメーカーたちが、相次いで“聞こえを補う”製品分野に参入しています。 本記事では、集音器・補聴器市場に実際… -
sound collector


“音を楽しむ”と“音を聞き取る”の目的はこんなに違う
補聴器とオーディオ機器。どちらも「音を届ける」ことを目的とした製品でありながら、その“音作り”の思想やアプローチはまったく異なります。本記事では、両者が持つ目的の違いや、音質チューニングの方向性、使用環境に対する考え方の差などを、専門的な… -
sound collector


オーディオ技術はどう集音器・補聴器に活かされているのか
「音を届ける技術」は、音楽を楽しむためだけのものではありません。近年、オーディオメーカーが開発してきた技術の多くが、補聴器や集音器にも活かされはじめています。本記事では、ドライバーユニットからノイズ制御、DSP(デジタル信号処理)に至るまで… -
sound collector


なぜオーディオメーカーが集音器市場に参入するのか
かつてはハイレゾ音源や重低音再生といった“音楽再生の理想”を追求していたオーディオメーカーたちが、ここ数年、続々と「集音器」や「聞こえサポート製品」に乗り出しています。なぜ今、音響機器のプロフェッショナルたちが“聴こえ”の世界に注目している…